1986 年 83 巻 10 号 p. 2174-2180
胎児牛皮より調製したプロコラーゲンを含むタイプIIIコラーゲン分画を抗原としてタイプIIIプロコラーゲンN末ペプチドの Col 2部分に対するモノクローナル抗体とα1 (III) に対応するモノクローナル抗体を作製した. 抗 Col 2抗体はヒトとの交叉反応性を有しており, 酵素抗体法により皮膚, 肺, 脾, 肝の結合組織が免疫染色された. 特に正常肝では小葉間結合組織より類洞側の肝細胞周囲に強い染色性がみられ, 成人より胎児の方が染色性は強かつた. 肝癌2例では癌組織およびその被膜結合組織に比し, 周辺非癌部組織にむしろ染色性が見られた.