日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
胆石症における血清CA19-9の臨床的意義について
布施 好信辻 俊三谷脇 雅史中島 悦郎竹田 彬一香川 恵造瀧野 辰郎
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キーワード: 胆石症, 血清CA19-9
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1986 年 83 巻 10 号 p. 2196-2200

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抄録

胆石症45例を対象として血清CA19-9をRIA法で測定し, その臨床的意義について検討した. 胆嚢内結石症では29例中8例 (27.6%) に, 総胆管結石症では16例中11例 (68.8%) にCA19-9が37U/ml以上の高値を示した. 臨床症状との関係では有症状群, とくに胆嚢炎, 胆管炎, 閉塞性黄疸などを伴う例で陽性率が高く, 最高2,350U/mlであつた. CA19-9陽性例の推移をみると, 胆嚢内結石症では炎症の改善により全例低下した. また, 総胆管結石症では血清総ビリルビン値とCA19-9との間に有意の正の相関がみられ, 減黄により全例正常化した. 以上よりCA19-9は胆汁中にも分泌されており, 胆嚢炎や胆管の閉塞機転に際しては血中に逸脱するものと考えられた.

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