日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
ヒト大腸癌の原発, 転移および再発巣の制癌剤感受性の相違に関する一考察
山田 一隆高尾 尊身前之原 茂穂才原 哲史吉永 淳教春山 勝郎満田 和信牧角 寛郎石沢 隆島津 久明
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1986 年 83 巻 11 号 p. 2318-2324

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抄録

結腸癌同一症例の原発巣 (PT), リンパ節転移巣 (LN) および局所再発巣 (RE) よりヌードマウス移植株を樹立した (COK-1PT, LNおよびRE). 同様に直腸癌同一症例の原発巣 (PT) と肝転移巣(LiM) より移植株を樹立した (COK-7PTおよびLiM). これらの腫瘍株を用い, 制癌剤 (5-FU, MMC, CPMおよびCDDP) に対する感受性試験を行い以下の結果を得た. COK-1PTにおけるMMC, ならびにCOK-1REにおけるMMCおよびCDDPに感受性を認めたが, COK-1LNはどの薬剤にも感受性を示さなかつた. 次にCOK-7PTはいずれの薬剤にも感受性を示さなかつたが, COK-7LiMはMMCに感受性を認めた. すなわち同一症例の原発巣, 転移巣および再発巣における制癌剤感受性には相違がある場合があることが明らかにされた.

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