日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
アルコール性脂肪肝における手掌紅斑の研究
非アルコール性脂肪肝との比較検討
多羅尾 和郎桜井 彰林 和弘池田 俊夫陳 敞村伊東 達郎飯田 善樹塩川 章
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1986 年 83 巻 11 号 p. 2365-2374

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抄録

肝生検にて脂肪肝と診断された, アルコール性脂肪肝17例, 肥満または糖尿病を合併したアルコール性脂肪肝7例, 非アルコール性脂肪肝19例, 計43例の手掌紅斑出現率を検討した. 手掌紅斑出現率は, アルコール性脂肪肝で82%, 肥満または糖尿病を合併したアルコール性脂肪肝では71%と高率で, 非アルコール性脂肪肝の16%に比べて, それぞれ危険率0.5%, 2.5%で有意差があつた. 手掌紅斑を伴うアルコール性脂肪肝5例の血中•尿中エストロジェン値は正常であり, アルコール性脂肪肝群は標準体重前後の例が多く低栄養状態は考えられず, 従つてアルコール性脂肪肝の手掌紅斑出現の成因は, 従来のエストロジェン, 低栄養以外の成因によるものと思われた.

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