1986 年 83 巻 12 号 p. 2520-2528
潰瘍性大腸炎患者30例につき, 末梢血T細胞 subset を fluorescence activated cell sorter (FACS) を用いた flow cytometry により検討し, Leu-2a陽性細胞の比率が活動期患者群で著減していた. 更に同一患者群で Con A-induced suppressor T細胞機能も低下していた. T細胞の分化, 増殖に重要な interleukin 2 (IL2) に関しては, その産生能に異常を認めないが, 活動期末梢血T細胞の exogenous IL2に対する反応能は低下しており, この低下は主にLeu-2a陽性細胞のIL2-receptor 発現障害によることが明らかとなつた.
以上より, 本症では suppressor T細胞の分化, 増殖障害に基づく suppressor T細胞の数, 機能の低下が存在し, 自己免疫現象発現に重要な意義を果たすことが示唆された.