日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
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潰瘍性大腸炎の直腸粘膜pH値
山崎 安信福島 恒男川本 勝杉田 昭諏訪 寛土屋 周二
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1986 年 83 巻 2 号 p. 165-169

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抄録

潰瘍性大腸炎症例91例について直腸粘膜pH値を測定し, 粘膜の肉眼的所見, 生検組織像と対比し検討した. 活動期の直腸粘膜pH値は7.05±0.14 (mean±1SD) で対照群の7.31±0.17に比して有意に低値を示した (p<0.01). 直腸粘膜生検の組織学的炎症の程度と直腸粘膜pH値には有意な負の相関を認めた. 潰瘍性大腸炎では局所の prostaglandin の増加によるH+分泌の亢進や, 上皮細胞内の嫌気性代謝の亢進にもとづく乳酸の増加などにより, 粘膜のpH値が低下すると考えられる. 直腸粘膜pH値は潰瘍性大腸炎の活動性の客観的な指標のひとつと考えられた.

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