1986 年 83 巻 4 号 p. 784-791
肝切除後のストレス潰瘍予防としての cimetidine, 16, 16-dm PGE2, 迷切の肝再生に及ぼす影響について検討し以下の結論をえた. (1)3群はともに水浸拘束ストレス潰瘍の発生を著明に抑制した. (2) cimetidine 群と16, 16-dm PGE2群では, 肝切除後の3H-thymidine 取り込み率, thymidine kinase 活性, DNA量は単肝切群と差をみなかつたが, 迷切群では明らかに低下した. (3)迷切群の mitotic index は単肝切群よりもそのpeak 値は低下し, また肝再生率も明らかに抑制された. (4)以上より, 肝切除後のストレス潰瘍予防処置としての迷切術は不適当な手段と考えられた.