1986 年 83 巻 8 号 p. 1504-1508
ラット膵遊離腺房を用いて cholecystokinin (CCK)及び carbachol によるアミラーゼ分泌作用に対して, 抗 phospholipase A2(PLA2)剤であるCDP-choline の及ぼす影響を検討した. CCK, carbacholによるアミラーゼ分泌は低濃度域では用量依存的に増加し高濃度域では減少するという2相性の用量反応曲線を示した. CDP-choline はこのうち低濃度域の分泌を特異的に抑制した. 一方, CDP-choline はCCK受容体結合及びCCK刺激による Ca outflux に影響を与えなかつた. これらの事実はCDP-choline による分泌抑制作用が刺激物質の受容体結合以後の細胞内機構を介して作働している事を示しており, 生理的濃度とされる低濃度域のCCK, carbachol の分泌作用に膜PLA2活性の関与する可能性が示唆された.