1987 年 84 巻 1 号 p. 36-44
インターフェロン (IFN) の細胞増殖抑制機構を明らかにするために, マウス肝部分切除後の肝再生初期における生化学的変化およびDNA合成におけるIFNの影響を検討した. 1) IFN投与マウスにおける肝再生時のDNA合成は対照群の約30%まで低下した. 2) IFN投与マウスでは, 肝再生時に見られるオルニチン脱炭酸酵素 (ODC) 活性の第一峰目が著明に低下し, ODCの反応生成物である putrescine の含量も低値を示した. 3) IFN投与マウスでは, 肝再生初期に生じる adenylate cyclase の活性化が阻害され, 肝内cAMP量の増加が抑制された. 以上よりIFNは肝内のcAMP及び putrescine の抑制を介して肝再生を阻害すると考えられた.