1987 年 84 巻 1 号 p. 45-51
HBs抗原 carrier 45例の血清HBe抗原•抗体, 血清HBV-DNA, 肝内HBc抗原の関連および, 慢性肝疾患例の臨床像との関係を検討した. 無症候性 carrier では, 血中HBe抗原陽性例は血清HBV-DNAおよび肝内HBc抗原が陽性, 血中HBe抗体陽性例では両者とも陰性であつた. 一方慢性肝疾例では, 血中HBe抗原, HBe抗体の有無とHBV-DNA, 肝内HBc抗原出現の一致をみたのは37例中22例 (59.5%) であつた. これら3つの marker 中, s-GPTの異常を最も鋭敏に反映したのは血清HBV-DNAであつた. 以上より, 慢性肝疾患においてはこれら HBV-marker の出現性に不一致が生じるが, 血清HBV-DNAはHBVの replication あるいは肝炎の活動性の最も鋭敏な指標となり得ると思われた.