日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
大腸切除症例及び潰瘍性大腸炎症例における血漿中PYY様免疫活性の検討
豊島 仁田利 晶隅井 浩治吉原 正治大越 裕章福原 一作徳毛 健治春間 賢梶山 梧朗宮地 幸隆三好 秋馬
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1987 年 84 巻 12 号 p. 2681-2687

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抄録

Peptide YY (PYY) は, 36個のアミノ酸よりなる polypeptide で下部消化管粘膜内の内分泌細胞に高濃度に存在している. 今回我々は, 特異的な radioimmunoassay (RIA)を用いて下部消化管疾患における空腹時血漿中 Peptide YY like immunoreactivity (plasma PYY-LI) を測定した. 大腸癌のため腸切除を受けた症例 (結腸または直腸または結腸直腸切除症例) と潰瘍性大腸炎症例 (緩解期) では, 正常例, 大腸癌症例, 潰瘍性大腸炎症例 (活動期) に比べ有意に低値を示した.
以上の結果から, 腸切除症例及び潰瘍性大腸炎症例 (緩解期) における plasma PYY-LI値は, 下部消化管内PYY内分泌細胞数の減少により低値を示したものと思われ, 下部消化管における組織学的変化を反映する一つの指標となる可能性が示唆された.

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