1987 年 84 巻 12 号 p. 2694-2699
ラットにエタノールを長期間投与し, γ-GTPの肝組織化学染色と肝内•血清の酵素活性を検討した. Donryu 系雄ラットに総カロリーの36%エタノール含有合成液体飼料を9月間投与したところ, 対照群に較べ肝の組織化学染色では, グリソン鞘で小型胆管と細胆管増生を認め, γ-GTPは増生した胆管上皮細胞に強陽性をしめしたが, 肝実質内では不変であつた. 肝ミクロゾームγ-GTP活性は2.75倍上昇したが, 血清γ-GTP活性は不変であつた. これらの成績は, アルコール性肝疾患の血清γ-GTP活性上昇に, 肝細胞での誘導合成に加え肝内胆管系病変の関与も示唆される所見と考えられる.