1987 年 84 巻 2 号 p. 221-228
cAMP依存性下痢時の小腸吸収上皮細胞において, 小腸アルカリフォスファターゼ (ALPと略す)の局在の変化と細胞内回転を小腸ALPに対する抗体を用いて検討した. 免疫組織化学による光顕および電顕的検討ではコレラトキシン (CTと略す) 投与により, ゴルジ装置と微絨毛膜上や微絨毛近傍の腸管腔内膜様物にALPの増加を認めた. 生化学的には小腸ALPの酵素蛋白中に取り込まれた3H-leucine の radioactivity はCT投与群では刷子縁膜分画および腸管内分泌液中で共に増加していた. 以上より, CTが小腸吸収上皮の小腸ALPの生合成を亢進させることが示された.