日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
肝細胞癌の腹腔内破裂に関する臨床的検討
太田 宏信野本 実尾崎 俊彦上村 朝輝市田 文弘曽我 憲二山田 俊彦本間 明清水 武昭
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1987 年 84 巻 3 号 p. 690-697

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抄録

昭和54年から昭和61年の間に当教室で経験した肝細胞癌 (HCC) の腹腔内破裂症例20例を臨床的に検討した. 20例中12例は明らかな破裂の誘因もなく発症しているが, 他の8例では上部消化管内視鏡や Adriamycin 動注, 排便などが発症の誘因, または原因となつていた. 初発症状は急激におこる腹痛で, shock となる症例もあり, また筋性防御や麻痺性イレウスを呈する症例も存在した. 止血目的にTAEを5例に施行したが, 長期延命を得た症例と, 肝不全を助長した症例を認めた.

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