日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
HBe抗原陽性B型慢性肝炎におけるB型肝炎ウイルス低減療法
富田 昭西原 利治大西 三朗
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キーワード: HBs抗原, 免疫療法
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1987 年 84 巻 4 号 p. 894-903

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抄録

B型慢性肝炎13例 (HBe抗原陽性9例, 陰性4例) を対象として, Double filtration plasmapheresis (DFP) を行い, 生体の免疫応答に阻害的に作用すると考えられる血中HBs抗原, HBVの低減を試みた. その結果HBe抗原陽性の2例ではDFP施行後に transaminase の上昇を経てDNA-p活性の陰性化, HBe抗原価の著減あるいは陰性化が観察された. またDNA-p活性低値例ではDFP施行後に血中HBV関連マーカーが著明に上昇する傾向を認めた. 一方, HBe抗原陰性例ではかかる変動を認めなかつた. このようにHBe抗原陽性例を対象としてDFPを施行すると, HBVの増殖が惹起されるとともに生体の免疫応答が改善される可能性があり, DFPはB型慢性肝炎の免疫療法への応用が期待された.

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