食道静脈瘤硬化療法前後の胃内視鏡所見で胃体上部にみられた発赤と前庭部にみられた出血性びらんを中心に検討した. 発赤, 出血性びらんともに硬化療法前静脈瘤形態高度例程硬化療法後胃粘膜所見が悪化する傾向にあつた. また硬化療法前の肝硬変重症度が, 硬化療法後出血性びらん増悪に関与している可能性が考えられた. さらに硬化療法後胃粘膜血流量は有意に低下し, 発赤増悪群では胃体上部で, 出血性びらん増悪群では前庭部で低下が著しかつた. 発赤の拡大内視鏡下観察では, ピットを取り囲む粘膜毛細血管の拡張をみ, この所見は切除胃組織標本の検討にても一致した. 以上より粘膜血流の低下は粘膜微小循環のうつ滞によるものであることが判明した.