日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
肝腫瘍発生におけるエストロゲンのプロモーター作用の検討
抗エストロゲン製剤の効果およびエストロゲンリセプターの変動
小東 克次福田 善弘井村 裕夫
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1987 年 84 巻 5 号 p. 1097-1102

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抄録

雄ラットに diethylnitrosamine (DEN) 200mg/kg体重を一回投与し, 2週後 diethylstilbestrol (DES) 0.5mg/日, tamoxifen (TMX) 1.0mg/日, DES+TMX, オリーブ油を投与する4群に分け, 8カ月間連日投与した. その結果DES投与ラットで見られた肝腫瘍は, TMXの同時投与によつて発生が抑制された. またγ-GTP陽性の病巣の検討においても, DESのプロモーター作用はTMXにより有意に抑制された. 肝細胞質のエストロゲンリセプター (ER) は, DES単独投与ラットで増加し, TMX投与ラットでは減少していた. 一方核のERはTMX投与ラットで増加していた. このことはDESのプロモーター作用およびTMXによるその抑制効果が少なくとも一部は, ERを介することを示唆している.

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