日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
Monoclonal 抗体を用いて測定した血清 Prolyl hydroxylase β-subunit の臨床的意義について
安原 稔松田 芳郎高田 昭
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キーワード: 肝線維化, 血清マーカー
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1987 年 84 巻 6 号 p. 1225-1232

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抄録

肝線維化の指標とされている血清 prolyl hydroxylase のβ-subunit (IRβ-PH) 量を monoclonal 抗体を用いて測定し, その臨床的意義を血清 procollagen type III N-terminal peptide (Pro-III-N-P) のそれと比較検討した. 血清IRβ-PHは慢性肝炎と肝硬変の大部分の症例で異常高値を示し, 活動性の強いものほど高値を示す傾向にあつた. 血清 Pro-III-N-Pもほぼ同様の傾向を示したが, 急性肝炎の全例と転移性肝癌の大部分の症例で異常高値を示した. 一方, 血清IRβ-PHは転移性肝癌の大部分と, 急性肝炎の約半数例で正常値を示した. 以上より, 血清IRβ-PHは肝での線維生成刺激をより選択的に反映しており, 肝線維化の血清マーカーとして有用であると考えられた.

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