1987 年 84 巻 6 号 p. 1244-1250
閉塞性黄疸肝における高エネルギーリン酸化合物の代謝変化を, 31P-MRS (磁気共鳴スペクトロスコピー) を用いて検討した. 総胆管を結紮した黄疸ウサギを実験モデルとし, 装置は2.0Tesla 超伝導MRI (磁気共鳴映像装置) を用いた. 各物質とα-ATPとの信号強度の比を対照群と比較すると, 総胆管結紮後1日の群ではPMEの信号強度が有意に増強し, PDE•γ-ATPの信号強度は有意に減弱した. 結紮後5日の群でのPME•PDEの信号強度は増強傾向を示したが, 有意差は無かつた. 各物質のT1値を検討すると, 結紮後1日の群のPDEのT1値が対照群と比較して有意な短縮を示した. リン脂質代謝の障害が閉塞性黄疸時の肝障害の早期に出現する事が示唆された.