1987 年 84 巻 7 号 p. 1415-1423
B型慢性肝炎46例の肝生検標本につき, 肝細胞膜 HLA-class I を avidin-biotin complex を用いた酵素抗体法で検討した. HLA-class I は全例陽性で, 瀰漫性, 蜂巣状に観察されたが, 一部濃染部を認めた. Diffuse 型 (濃染部なし) はCIHに多かつた. HBe抗原陽性群, HBe抗体陽性でGPT異常群は, ともに Focal 型 (巣状濃染部), Zonal 型 (層状濃染部) をCAHに多く認め, 特に Focal 型は, 肝炎増悪と関連していた. IFN投与4例中3例る HLA-class I の程度が増強した.
B型慢性肝炎において, cytotoxic T cell が感染肝細胞に作動する際必要とする HLA-class I の肝細胞膜への表出を認め, また HLA-class I 表出と肝炎増悪との密接な関連性を実証した.