日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
十二指腸炎の組織学的検討
内視鏡所見との対比
高升 正彦布施 好信佐藤 達之西田 博時田 和彦辰巳 嘉英川本 克久藤野 博也辻 秀治光藤 章二古谷 慎一丸山 恭平岡野 均児玉 正瀧野 辰郎
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1988 年 85 巻 1 号 p. 6-13

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抄録

十二指腸球部の内視鏡所見を正常およびびらん, 発赤, 結節, 粗〓, 顆粒, 血管透見に細分し, 生検材料 (一部切除標本) の得られた88例について, Whitehead の十二指腸炎の組織学的 Grade 分類に基づき, 内視鏡所見と対比検討した. その結果, びらん, 発赤, 結節, 粗〓を呈するものが間質の細胞浸潤, 絨毛の扁平, 短縮化, 上皮の欠損, 胃型上皮の出現など十二指腸炎としての組織学的所見が高度であつた. このことより, 十二指腸炎の内視鏡診断にあたつては, これら4型に分類するのが妥当と考えられた. また結節型では絨毛上皮の変化に加え切除標本の検索にて Brunner 腺が肥厚している所見が観察された. 一方, 顆粒型の本態はリンパ濾胞の増生によるものと考えられ, 血管透見型は切除標本の検索で Brunner 腺の菲薄化がみられ, いずれも十二指腸炎としての所見は軽度であつた. 十二指腸炎,とくにびらん型では陰窩欠損部においてその深部に存在する Brunner 腺が再生上皮に連続している所見が観察され, びらんの修復に Brunner 腺も関与している可能性が示唆された.

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