日本消化器病学会雑誌
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Bromodeoxyuridine の取りこみよりみた慢性活動性肝炎と肝硬変のDNA合成能について
久邇 之房多羅尾 和郎清水 昭男中村 圭靖原田 昌興伊藤 義彦飯森 和人玉井 拙夫
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キーワード: 慢性活動性肝炎, 肝硬変
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1988 年 85 巻 10 号 p. 2187-2192

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抄録

慢性活動性肝炎と肝硬変の細胞動態を Bromodeoxyuridine (以下BrdU) を用いて肝生検組織で検討した. 方法としては各症例より採取した肝生検組織をRPMI 1640で0.1%に希釈したBrdU溶液中に投与し, 95%O2, 5%CO23気圧下で, 37°C, 45分間培養し, リン酸緩衡中性ホルマリンにて24時間固定後にパラフィン切片を作成し, 4N塩酸にて37°C30分処理後に抗BrdUモノクローナル抗体を用い, ABC法による免疫染色で光顕的に観察し, BrdU摂取率を算定した. 結果としては肝硬変12例のBrdU 摂取率は2.49±1.90%で慢性活動性肝炎17例の0.93±0.16%と比べて有意に高かつた. 既に肝癌を有する肝硬変のBrdU摂取率が高値であることを我々は報告しており, これを合わせると肝硬変は慢性活動性肝炎に比し, より肝細胞癌の high risk group となる可能性が示唆された.

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