日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
末梢血および各消化管粘膜 (胃•小腸•大腸) におけるリンパ球サブセットとHLA-DR抗原発現状態の検討
平田 一郎林 勝吉折野 真哉斉藤 治藤田 亨芦田 潔鄭 鳳鉉島本 史夫三好 博文大柴 三郎
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1988 年 85 巻 11 号 p. 2380-2388

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抄録

健常者末梢血および健常消化管粘膜 (胃•小腸•大腸) DLTにおけるリンパ球サブセットとDR抗原発現状態の比較検討を行い両者間に相違をみとめた. すなわち末梢血ではleu3/2比が約1.4でありB cell が約10%, DR抗原陽性T cell が約5%に認められた. 一方, 消化管粘膜DLTではLPL leu3/2比は胃約1.2, 腸約2.0であり, B cell とDR抗原陽性IELはほとんど認められなかつた. また, 小腸は胃•大腸に比しleu4+およびleu2+IELとleu4+およびleu3+LPLが高値を示し, 上皮DR抗原発現も特異的に認められた. したがつて小腸は胃•大腸に比し潜在的に高い免疫活性を有し, このことと小腸における悪性腫瘍の発生頻度が少ない事実との間に何らかの関連性が示唆された.

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