1988 年 85 巻 11 号 p. 2380-2388
健常者末梢血および健常消化管粘膜 (胃•小腸•大腸) DLTにおけるリンパ球サブセットとDR抗原発現状態の比較検討を行い両者間に相違をみとめた. すなわち末梢血ではleu3/2比が約1.4でありB cell が約10%, DR抗原陽性T cell が約5%に認められた. 一方, 消化管粘膜DLTではLPL leu3/2比は胃約1.2, 腸約2.0であり, B cell とDR抗原陽性IELはほとんど認められなかつた. また, 小腸は胃•大腸に比しleu4+およびleu2+IELとleu4+およびleu3+LPLが高値を示し, 上皮DR抗原発現も特異的に認められた. したがつて小腸は胃•大腸に比し潜在的に高い免疫活性を有し, このことと小腸における悪性腫瘍の発生頻度が少ない事実との間に何らかの関連性が示唆された.