日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
経皮経肝門脈造影像からみた肝細胞癌による肝内門脈枝の変化
肝切除標本との対比を中心に
広橋 一裕酒井 克治木下 博明街 保敏井上 直久保 正二岩佐 隆太郎李 光春
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1988 年 85 巻 12 号 p. 2642-2650

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抄録

肝細胞癌症例のPTP像を観察し, 肝細胞癌の肝内門脈枝に及ぼす変化を肝切除標本と対比, 検討した.
1) PTP像上の所見を圧排像, 先細り様圧迫閉塞像, 中断閉塞像, 門脈枝内陰影欠損像, sinusoidal phase での陰影欠損像に分類した.
2) 肝切除標本の検索から中断閉塞像および門脈枝内陰影欠損像は門脈内腫瘍塞栓に起因することが多く, そのsensitivity 88%, specificity 94%, accuracy 93%であつた.
3) 圧排像や先細り様圧迫閉塞像は1例を除き肝細胞癌による単なる圧排所見であつた.
4) 選択的PTPやPTP像の経時的観察により, 肝細胞癌周囲の門脈血行動態や肝細胞癌の肝内門脈枝に及ぼす影響を詳細に観察しえた.
したがつてPTPは肝細胞癌の門脈内進展の把握ひいてはその治療方針の樹立に有用な情報を提供すると考えられた.

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