日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
膵 echogenicity の定量化の試みと高齢者剖検膵の病理学的検討
花田 稔小泉 勝大平 千秋宍戸 輝彦小針 瑞男後藤 由夫若松 秀樹小松 寛治
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1988 年 85 巻 12 号 p. 2679-2686

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抄録

膵 echogenicity の定量化を超音波装置により測定した echo level 値を用いて試み, その妥当性を検討した. また高齢者の膵 echogenicity の増強の原因を明らかにするため, 65歳以上の高齢者剖検例の膵超音波像と組織所見を対比した. 膵と肝の echo level の比 (P/L値) は肉眼所見を良好に反映した. また年齢の増加と共にP/L値は上昇し, 年齢との間に正の相関を認めた. P/L値の上昇傾向を呈した剖検例の膵組織では, 種々の程度の線維の増生や脂肪浸潤が複雑に混在していた. 以上より, 膵echogenicity の定量化においてP/L値は有用な index と考えられた. 高齢者剖検膵において echogenicity 増強の原因を病理組織学上単一な病像に特定することは困難であつた.

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