日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
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門脈下大静脈吻合•アンモニア負荷ラットにおける胃粘膜の形態学的変化に関する検討
久代 和雄
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1988 年 85 巻 2 号 p. 178-185

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抄録

門脈下大静脈吻合 (portacaval shunt 以下PCS) ラットを用い, 肝障害合併ラットにおける血中アンモニアレベルの上昇が胃粘膜に及ぼす影響について光顕, 電顕的に検討した. PCSのみの群では平均120μg/dlの血中アンモニア濃度上昇を認め, 被蓋上皮細胞直下の間質に軽度の浮腫を認めた. PCSラットにアンモニア負荷を行い, 30分後には被蓋上皮細胞間及び直下の間質に著明な浮腫を認め, 血中アンモニア濃度下降に伴い浮腫の軽減を認めた. 負荷2時間後では被蓋上皮細胞及び間質の毛細血管は凝集壊死所見を示し, びらんの所見を呈した. 従つて高アンモニア血症はPCSラットにおける胃粘膜障害の発生及び増強の一因子として重要であると考えた.

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