日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
肝硬変における門脈•全身短絡路と肝内動•静脈短絡路の検討
陳 信義大西 久仁彦奥田 邦雄
著者情報
ジャーナル フリー

1988 年 85 巻 2 号 p. 202-206

詳細
抄録

肝硬変における肝内血管系の変化を評価するために, 肝硬変症16例を対象として, 肝内動•静脈短絡率を全例で, 門脈•全身短絡率を12例で測定した. 肝内動•静脈短絡率は99mTc-MAAを固有肝動脈に注入し, シンチカメラにより肺及び肝の放射能を上下加算方式で測定し, 下式より求めた.肝内短絡率=肺領域カウントの和/肺及び肝領域カウントの和×100 (%)日をかえて, 99mTc-MAAを門脈本幹近くに注入し, 肝内動•静脈短絡率と同じ, 方法で門脈•全身短絡率を求めた. 肝内動•静脈短絡率は門脈•全身短絡率に比べて有意に低い値を示した (1.4%±1.1%v.s.36.0%±2.9%, n=12, p<0.001). 以上より, 肝硬変症では, 肝内動脈系の変化は肝内門脈系の変化に比べて軽度と考えられた.

著者関連情報
© 財団法人 日本消化器病学会
前の記事 次の記事
feedback
Top