1988 年 85 巻 2 号 p. 207-216
1984年11月より1986年3月までに肝細胞癌63例に対し, 肝動脈より, シスプラチン動注の前後にリピオドールとシスプラチンの混合液を動注し, その後ゲルフォームによる塞栓術を行う新しい方法を考案•実施し, 全例に主腫瘍の縮小, 血清AFP値の低下などの治療効果をみとめた. 本法による非切除36例の1年累積生存率は82.3%, 2年累積生存率は42.2%で, 従来のアドリアマイシン, リピオドール, ゲルフォームを用いた動脈塞栓術による1年及び2年累積生存率 (50.0%, 30.0%) に比し, 有意に良好であつた.
副作用はいずれも一過性かつ軽微で, 本法は肝細胞癌の治療には極めて有効な方法と考えられる.