日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
ヒト胃癌培養細胞株における糖鎖抗原CA19-9の産生
名富 仁美菅野 健太郎岩森 正男斉藤 栄一久保田 俊一郎近藤 行男大沢 仲昭高久 史麿
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1988 年 85 巻 2 号 p. 236-242

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抄録

ヒト胃癌培養細胞株における糖鎖抗原CA19-9の産生及び分泌機序について検討した. いくつかの細胞株のうちKATO-IIIに比較的高いCA19-9産生能が認められ, 同時に多量のCEAも分泌していた. しかし, CA19-9とCEAの培地中への分泌動態及び細胞内分布には差異がみられた. CA19-9は蛍光抗体法によりKATO-IIIの細胞膜に存在しており, また, 培養液上清及び細胞抽出液のゲル濾過では分子量の大きな糖蛋白質(ムチン)であることが示唆された. 一方, KATO-III細胞膜の糖脂質(ガングリオシド) 中にはCA19-9は検出されなかつた. 以上より, KATO-IIIはCA19-9を糖脂質としてではなく糎蛋白質 (ムチン) として産生, 分泌していると推定される.

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