日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
Crohn 病に対する半消化態栄養剤の治療効果
青柳 邦彦飯田 三雄松井 敏幸南部 匠藤島 正敏
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1988 年 85 巻 5 号 p. 1042-1050

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抄録

活動期11例および寛解期23例の Crohn 病患者に対し半消化態栄養剤(クリニミール®) を投与し,その治療効果を検討した. primary therapy においては, 治療開始8週後にCDAI, 炎症所見, 栄養学的指標のいずれも有意の改善を示した. X線検査所見でも縦走潰瘍, 敷石状外観, アフタ様潰瘍などの活動性病変は, 小腸で22病変中21病変, 大腸で9病変中8病変が治癒もしくは改善した. また, 同剤を在宅寛解維持療法として投与した場合, その飲用量が1600kcal/日以上の群は800kcal/日以下の群に比べ有意に入院を要する頻度が少なかつた. 以上より, 半消化態栄養剤は Crohn 病の primary therapy としても寛解維持療法としても有効と考えられた.

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