1988 年 85 巻 5 号 p. 1077-1081
ペプシノーゲン (Pg) 分泌に対するEGFの作用を家兎胃粘膜の器官培養法で検討した. EGFは細胞内Ca2+の mobilization を介してPg分泌を惹起するカルバコール, CCK-8刺激に対しては抑制を示さなかつた. しかし, 細胞内cAMPを増加させてPg分泌を引き起こすフォルスコルン刺激に対しては10-8Mの濃度で対照の71%, 10-7Mで56%までの分泌に抑制し, 対照と有意差を示した. また, db-cAMPによるPg分泌を10-8Mで対照の79%, 10-7Mで62%に有意に抑制した. 以上よりEGFは細胞内cAMPに依存して惹起されるペプシノーゲン分泌を抑制し, その抑制作用はcAMPが増加した以後の段階で発揮されるものと考えられた.