日本消化器病学会雑誌
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担癌大腸における粘膜オルニチン脱炭酸酵素の活性亢進とインドメサシンによる活性阻害
成沢 富雄高橋 政弘丹羽 誠小山 裕文日下 尚志山崎 好日児永沢 治小棚木 均小山 研二
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1988 年 85 巻 8 号 p. 1483-1489

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抄録

ポリアミン合成酵素オルニチン脱炭酸酵素の誘導亢進が発癌プロモーションの指標として利用されている. 大腸癌67例と非大腸癌6例の切除大腸の正常粘膜の本酵素活性を測定した. 癌と腺腫が合併した多発腫瘍例は癌単発例より, またこの両者は非大腸癌例より高い酵素活性を示し, それは左側大腸多発腫瘍例でより顕著であつた. 担癌大腸, 特に多発例は多量の発癌性物質に曝露されたか, それに高感受性であることを示している. 本酵素は大腸癌高危険群の良い生物学的指標となる. プロスタグランジン合成阻害剤インドメサシン投与例の酵素活性は低値であつた. 本剤が人大腸においても抗プロモーター作用を有していることを示唆している.

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