日本消化器病学会雑誌
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Print ISSN : 0446-6586
腫瘍ドップラー信号による肝細胞癌の診断
中村 武史森安 史典川崎 俊彦木村 達山下 幸孝伴 信之玉田 尚小野 成樹西田 修内野 治人小澤 和恵
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1988 年 85 巻 9 号 p. 1649-1655

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抄録

67病変の肝腫瘍を, 超音波Bモード•パルスドップラー複合装置を用いて検討し, 得られた血流ドップラー信号と腫瘍組織及び血管造影所見を比較検討し, 以下の成績を得た.
1) 動脈, 肝静脈, 門脈由来と思われる3種の血流信号が, 肝腫瘍の内部および辺縁から得られた. 2) 血管造影上, 血管増生度の高い腫瘍程, 高流速の信号が得られる傾向があつた. 3) 動門脈シャントのある肝細胞癌6/6病変から, 70cm/sec以上の動脈性高速信号がえられた.
以上より超音波ドップラー血流信号を用いて肝腫瘍, 殊に肝細胞癌の診断ができる可能性が示唆された.

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