日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
胃癌患者血清中における糖鎖抗原 sialylated Lewisx と sialylated Lewisa
とくに, 両者の combination assay の有用性について
中越 享広田 正毅平谷 一人福島 喜代康下山 孝俊三浦 敏夫富田 正雄原 耕平伊福 真澄
著者情報
キーワード: 腫瘍マーカー, 糖鎖抗原
ジャーナル フリー

1989 年 86 巻 1 号 p. 19-25

詳細
抄録

胃癌手術症例141例の同一血清を用いて, 互いに構造異性体である糖鎖抗原 sialylated Lewisx と sialylated Lewisa (CA19-9)を測定し, その臨床病理学的因子別差異および相関関係を調べるとともに, CEAもあわせて比較検討した. 陽性率は sialylated Lewisa 26.9%, CEA 21.8%, sialylated Lewisx 17.0%の順であつた. sialylated Lewisx は肝転移•腹膜播種の腫瘍量と良く相関したが, 他に特徴は見出せなかつた. sialylated Lewisa はリンパ節転移陽性例で陽性率が高く, 組織型ではmucとpapで高い陽性率を示した. 両抗原の間には相関関係を認めず, 両者の combination assay が有効で, CEAでは検出できない部分の拾い上げが可能であると考えられた.

著者関連情報
© 財団法人 日本消化器病学会
前の記事 次の記事
feedback
Top