日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
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胆道閉塞前後における抗生物質の胆汁中移行に関する実験的研究
特に胆汁中胆汁酸との関連を中心に
川口 英弘
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1989 年 86 巻 1 号 p. 50-59

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抄録

雑種成犬を用い正常時•胆道閉塞時ならびに閉塞解除後における抗生物質の胆汁中移行を検討し, 以下の結論を得た. (1)閉塞時では正常時に比し胆汁中移行は不良で, また解除直後では血中から胆汁中へ至る逆短絡経路の存在が示唆された. (2)解除後1週目では未だ正常時に比し胆汁中移行は不良であつたが, 内•外瘻群間の胆汁中2次/1次胆汁酸比に差を認め, 抗生物質の胆汁中移行は外瘻群に比し内瘻群で良好な成績であつた. 閉塞解除後の内瘻術や経口的胆汁摂取または胆汁酸製剤の服用により胆汁中の抗生物質の移行は良好となるが, これは胆汁中2次/1次胆汁酸比の正常化で示される胆汁酸の腸肝循環の回復によることを実験的に証明した.

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