日本消化器病学会雑誌
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食道静脈瘤硬化剤 (ethanolamine oleate, Aethoxysklerol および純エタノール) の血管内皮細胞障害機序に関する研究
折笠 和栄
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1989 年 86 巻 10 号 p. 2365-2372

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抄録

内視鏡的食道静脈瘤硬化療法による血栓形成に最も重要と考えられる血管の内皮細胞障害の機序を明らかにするために ethanolamine oleate (EO), Aethoxysklerol (AS) および純エタノール (Et) の3種の硬化剤による培養ヒト血管内皮細胞と継代培養K-562細胞に対する細胞形態の変化と51Cr標識細胞からの放射能活性の遊離を測定した. その結果, 内皮細胞障害機序につきEOとASおよびEt間に作用の強弱と若干の相違がみられた.
EOは細胞形態の消失と高い51Cr遊離を示したことから, 細胞膜を障害して細胞溶解を起こすと考えられた. ASは中等度の細胞溶解と中等度の51Cr遊離を示した. Etは細胞形態をとどめて細胞を死滅させ, 51Cr放出を示さないことから, 細胞固定壊死作用が強いと考えられた.

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