1989 年 86 巻 10 号 p. 2373-2378
ウルソデオキシコール酸 (UDCA) の胃粘膜に及ぼす影響をみる目的で, UDCA添加飼料にて長期間飼育したラットを用い, 水浸拘束ストレス負荷時の胃粘膜障害に対する効果を検討した. その結果, UDCA投与ラットではストレス負荷後2時間の初期胃粘膜障害が対照群に比して著明に抑制され, また粘膜内過酸化脂質 (lipid peroxide, LPO) の増加も抑制された. 脂質過酸化のスカベンジャーでは, catalase が粘膜内および血中ともにストレス負荷後の上昇が有意に抑制された. これらの所見から, UDCAはストレス負荷により惹起される胃粘膜障害発生を初期において抑制し, その機序には脂質過酸化の抑制効果が関与していることが示唆された.