日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
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大腸癌における糖鎖抗原SLXおよびCA19-9の血清学的, 免疫組織化学的検討
五十嵐 潔
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1989 年 86 巻 10 号 p. 2394-2403

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抄録

糖鎖性癌抗原SLXおよびCA19-9の大腸癌における腫瘍マーカーとしての意義について検討した. その結果, 免疫組織化学的検討では, SLX, CA19-9の陽性率は, 進行癌では96.2%, 88.8%, 腺腫では60%, 50%, m癌では94%, 80%, sm 癌では93%, 80%, 正常粘膜では陰性であつた. すなわち, SLX, CA19-9はいずれも大腸癌組織に高率に認められ, かつ腺腫でも陽性を示す例が多く, 正常粘膜ではすべて陰性であつたことから, 前癌状態を捉えるマーカーとして, 有意義なことが示唆された. また, 血清におけるSLX, CA19-9の陽性率は20.6%, 25.9%で, 陽性率は Dukes 分類の進行度と相関した.

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