1989 年 86 巻 10 号 p. 2404-2412
Adenomatous hyperplasia (AH) 9例 (14病変), 肝細胞癌を内包するAH 22例 (28病巣) および境界病巣10例 (12病巣) 計41例 (54病巣) について, 各種画像診断法における有病正診率を検討した. 全病変及び癌を内包するAHの正診率は各々術中超音波; 70%, 88%, 門脈CT; 58%, 71%,; 術前超音波; 44%, 64%, 肝動脈CT; 38%, 50%, CT; 33%, 58%, 血管造影; 17%, 31%, Lipiodol-CT; 9%, 25%の順で癌病巣を内包する病変の方が正診率が高かつた. 血管造影で腫瘍濃染のみられた8例 (17%) はすべて癌を内包するAHであつた. 54病変の平均径は1.2cmと小さく35例 (85%) に肝硬変が併存していた. 肝動脈塞栓療法で壊死を呈した "癌を内包するAH" は1例もみられなかつた.