1989 年 86 巻 12 号 p. 2705-2712
健常成人を対象として, 固形食摂取後120分間にわたり, 胃排出能および血清 gastrin 分泌反応に及ぼす背部皮膚への圧刺激の影響を検討した. 胃の脊髄分節支配 (T6-9) に相当する背部の皮膚領域に圧刺激を加えると, 非刺激時に比して胃排出能は有意に低下し, 血清 gastrin 分泌反応も有意に抑制された. 一方, T10-L1に相当する背部への圧刺激では, 胃排出能や血清 gastrin 分泌反応は有意の変化を示さなかつた. 血漿ACTH, epinephrine および norepinephrine は, 圧刺激 (T6-9) によつて変動しなかつた. 今回の成績は, 背部皮膚 (T6-9) への圧刺激が胃の機能を抑制すること, さらにその反応には, 脳より脊髄の関与の大きいことを示唆する.