日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
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輸血後非A非B型肝炎発生に及ぼす輸血量および製剤種類の影響
高野 進小俣 政男大藤 正雄里村 洋一
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1989 年 86 巻 12 号 p. 2735-2741

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抄録

当施設における6年間の全輸血患者8637例の中から初回輸血で輸血前に肝障害がなく, 輸血が1週間以内に終了している2596例について輸血量, 輸血製剤の種類, 受血者の性, 年齢と輸血後肝炎の発生率の関係を検討した. 発生率は受血者の性, 年齢とは関係なく専ら輸血量によつて規定された. 発生率は軽血量が増加するとともに頭打ち傾向がなく増加し, 20単位では29.4%, 50単位では50.0%だつた. このデータから健常人における非A非B型肝炎ウイルスの保因者率を推測すると1.39%となつた. 濃厚赤血球, 保存血, 新鮮血を輸血した場合には発生率が高く, 新鮮凍結血漿を輸血した場合は発生率は低かつた.

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