1989 年 86 巻 12 号 p. 2757-2764
99mTc O-4経直腸門脈シンチグラフィを用いて, 慢性肝疾患の門脈循環動態および肝硬変例の食道静脈瘤形成への進展について検討した. 経直腸門脈シャント率 (PRPSI) は, 肝病変の進展に伴い有意の高値を示した. また経過観察し得た食道静脈瘤非合併肝硬変74例では, 静脈瘤出現例でPRPSIの上昇を認め, PRPSI20%以上群は20%未満群に比べ2年以内の静脈瘤出現率は有意の高値を示した. 本法は, 非観血的に門脈血行動態の測定が可能であり, その異常度を画像と数量化との両面で表現でき, また検査法の簡便さより, 肝疾患患者の経過観察にも優れている.