日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
重回帰分析を用いた肝細胞癌高危険群の設定とその限界
多施設アンケートによる集計ならびに早期診断症例の臨床的検討
武藤 泰敏森脇 久隆島崎 信福富 尉足立 定司河合 潔奥野 正隆星山 直基山田 昌夫清水 勝高井 哲熊原 正辻 孝若原 達男亀谷 正明時光 直樹入山 克大橋 三與治大山 正巳松友 啓典小木曽 和夫小畠 正夫奥野 文隆小島 孝雄吉田 貴藤岡 均坂東 哲朗石原 陽一郎端山 和雄西尾 碩人岩砂 三平
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1989 年 86 巻 12 号 p. 2833-2838

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抄録

肝細胞癌をより早期に効率的に診断すべく多施設アンケートにて症例を集積した. 臨床的因子につき重回帰分析を用い高危険群を設定し, 臨床に応用して有用性及びその限界について検討した. 肝癌合併に有意に寄与する因子は HBs Ag, 年齢, 大酒歴, 性が挙げられた. この結果より1985年4月以降高危険群を中心にスクリーニングを行い28例の3cm以下の肝細胞癌を診断した. 高危険群より発見されたものは24例 (sensitivity 92%, specificity 44%) で, 本方法は肝細胞癌を早期に診断する上で極めて有用であつた. 今回診断し得た症例を検討したところ, 予後は比較的良好で, 予後規定因子として腫瘍自体に基づくものと同程度に肝不全合併の影響が関与していた.

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