日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
アルコール性肝障害におけるプロスタグランディン代謝異常
特に, 血小板機能異常との関連について
荒井 正夫奥野 府夫石井 裕正平野 芳昭筋田 和文小林 利次高木 俊和丸山 勝也加藤 真三継 摩利高橋 久雄土屋 雅春
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1989 年 86 巻 2 号 p. 220-226

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抄録

アルコール性肝障害 (ALD) の発症•進展と肝微小循環との関連が注目されているが, 本研究では, 微小循環動態に深く関与しているプロスタグランディン (PG) 代謝についてアルコール性肝障害とその他の肝疾患と比較検討した. ALDでは血中 thromboxane B2 (TXB2) 濃度が上昇しており, PG代謝異常が認められた. 各種の血小板機能を検索したところ, ALDでは血小板機能の亢進状態があり, 血中TXB2濃度と血小板でで malondialdehyde 産生能とは正の相関を示した (r=0.558; p<0.001). また, 血中 β-thromboglobulin や血小板第4因子がALDで高値を示した. 以上のことより, ALDでは血小板の易凝集状態があり, これらが病態の発症•進展に何らかの関与をしている可能性が考えられた.

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