日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
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In vivo および in vitro におけるヒト肝細胞癌のPGE2産生能とその意義に関する実験的検討
板倉 正幸野原 隆彦中瀬 明
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1989 年 86 巻 2 号 p. 227-236

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抄録

in vivo および in vitro において, ヒト肝細胞癌のPGE2産生能と, その作用を調べる目的でIndomethacin, PGE2投与の影響を検討した. in vitro では腫瘍細胞 (HH2-6) からPGE2産生が認められ, 増殖率と上清中PGE2の間に逆相関が示唆された. in vivo では担癌ヌードマウスの血漿中および腫瘍組織中PGE2が移植後1週から2週にかけての早期に極めて高値を示した. Indomethacin 連日腹腔内投与(4mg/kg体重) では血漿中, 組織中のPGE2上昇が抑制され, かつ腫瘍潜伏期の延長がみられた. PGE2の早期腹腔内投与 (10μg, 0.1μg) では潜伏期の短縮がみられ, PGE2と腫瘍潜伏期の密接な関係が認められた. 組織学的には腫瘍由来PGE2による腫瘍血管新生促進が示唆された.

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