日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
超音波ドプラ法による総頚動脈および上腕動脈血流量の測定とその臨床的意義
特に急性肝不全における総頚動脈血流量の低下とその発現機序について
小森 裕文冨田 栄一村上 啓雄森脇 久隆武藤 泰敏
著者情報
ジャーナル フリー

1989 年 86 巻 3 号 p. 764-772

詳細
抄録

急性肝不全において, 超音波ドプラ法を用い総頚動脈および上腕動脈の血行動態について経時的に観察した. 一部の症例では, Swan-Ganz catheter, 頭部CT検査, 頭蓋内圧 (ICP) 測定を施行した. その結果, 急性肝不全では, 心拍出量, 上腕動脈血流量は著増し, hyperdynamic state にあるにもかかわらず, 総頚動脈血流量は対照的に低下していた. また頭部CT検査における内頚動脈領域の白質のCT値は, 対照群に比し急性肝不全で低値を示し (p<0.01), 総頚動脈血管抵抗と負の相関 (p<0.01) を認めた. さらにICPを挿入した症例では, 総頚動脈血流量とICPは"mirror image"を示しながら推移した. 以上より急性肝不全における総頚動脈血流量の低下は, 脳浮腫に伴なう頭蓋内圧の上昇が一因をなしていることが示唆された.

著者関連情報
© 財団法人 日本消化器病学会
前の記事 次の記事
feedback
Top