1989 年 86 巻 3 号 p. 773-780
雑犬26匹を用い, 血管作動物質を腹腔動脈から持続注入しながら, 総肝動脈と門脈の血流量及び肝組織血流量を, 全身循環動態観察下に同時測定した. Prostaglandin F2α (PG) 0.025~0.05μg/kg/min 及びAngiotensin II (AT) 0.05μg/kg/minの注入は, 総肝動脈と肝組織血流量を減少させ, 門脈血流量には有意な変化を示さない. PG及びAT 0.5μg/kg/minの注入では, 総肝動脈血流変化は二相性で, 注入早期に減少しこの後有意に増加した (p<0.05). また門脈血流は減少したが, 肝組織血流量は維持された. PG 1.0μg/kg/min注入では, 総肝動脈, 門脈及び肝組織血流量はすべて減少した. Dibutyryl cyclic AMP (DBcAMP) 2.0mg/kg/hr注入は, 総肝動脈, 門脈及び肝組織血流量を増加させ, DBcAMP前投与は続くPG 1.0μg/kg/min注入の作用を減弱した.