日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
重症型アルコール性肝障害の発生機序に関する実験的検討
特に, エンドトキシンと補体活性との関連について
荒井 正夫奥野 府夫石井 裕正平野 芳昭筋田 和文中野 盛夫小林 利次土屋 雅春
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1989 年 86 巻 5 号 p. 1089-1095

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抄録

アルコール性肝障害の重症化の機序における補体系の関与を検討する為, 慢性エタノール摂取ラットにエンドトキシン (0.2mg/100g, 体重; E. Coli 026: B6) を尾静脈より静注し, 16時間後に生化学的, 組織学的な検査をおこなつた. エンドトキシン処置後, 対照群と比較して慢性エタノール摂取ラットでは血中GOT, GPTの著明な上昇とともに広範な肝壊死が出現し, また, 血中BUN, クレアチニンの上昇と腎尿細管の変性を認めた. 一方, 血中補体価 (CH50) は著明に低下し, 肝, 腎の障害の程度と有意の相関を示した. 以上の結果より, エンドトキシンによる補体系の活性化が慢性エタノール摂取後の多臓器障害の発現と関連している可能性が推察された.

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