日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
合成トリプシンインヒビター Camostat mesilate のエチオニン膵障害ラットに対する膵栄養効果に関する研究
大石 高治中川 雅夫馬場 忠雄細田 四郎
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1989 年 86 巻 5 号 p. 1125-1135

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抄録

膵障害ラット (6週間, 2-3日/週, エチオニン60mg/100g腹腔内投与し作成) に Camostate (CM)100mg/kg/日を14日間経口投与し, 障害膵に対するCMの栄養効果を検討した. CMは障害膵の湿重量を増大し, 腺房細胞の肥大増生を来し, さらに膵外分泌機能を亢進させた. 単離膵腺房のセルレインに対するアミラーゼ放出の感受性は障害膵で低下したが, その頂値は有意に増加した. CM投与群の血漿CCKは, CM非投与群に比して24時間後は高値を示したが, その後は secretin と同様両群に差を認めなかつた. 以上より, CMは障害膵に対しても栄養効果を認め, それは, 正常ラット膵におけるのと同様にCCKによると考えられたが, さらに, CCK受容体拮抗物質による検討が必要である.

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