日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
Radioimmunoassay 法による血清 Phospholipase A2測定の臨床的検討
船越 顕博古川 正幸山田 幸生若杉 英之安部 宗顕大神 吉光篠崎 博嗣
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キーワード: 膵炎
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1989 年 86 巻 5 号 p. 1136-1140

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抄録

血清 Phospholipase A2 (PLA2) 測定の新しいRIA法を検討した. 本測定系による健常人の空腹時値は301±65.6ng/dl (mean±SD) であり, 急性膵炎は全例高値 (2745±349.4ng/dl) を認め, 臨床経過と並行した変動を示し, 他の膵酵素と比べ高値遷延した. 慢性膵炎では膵外分泌高度障害は低値を, 急性発作時には高値を示した. また膵癌では病初期には高値を示し, 病期の進行と共に異常低値を示した. さらに膵管造影直後はPLA2値の著増をみるも24時間後にはほぼ前値に戻つた. その他の悪性腫瘍, 糖尿病, 慢性肝疾患, 高血圧症ではほぼ正常範囲を示したが, 慢性腎不全では高値を示した. 以上のごとく血清PLA2測定は膵炎の各時期の病態を鋭敏に反映し, 新しい膵炎マーカーとして今後期待される.

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